(1)合宿概要
| 期間: |
10月8日(月)日本発 10月9日(火)〜12日(金)トレーニングキャンプ in Zlate Hory 10月13日(土)チェコミーティング(ミドル)参加 10月14日(日)チェコミーティング(ロング)参加 10月15日(月)現地発 10月16日(火)日本着 |
| 費用: |
航空券代 約13万円 トレーニングキャンプ代(宿泊、食事、地図代など全て込み) 約7万円 合計約21万円 |
| 尾上さんによる報告を参照 |
(2)全体を通して
1.気候:
10月のチェコは日本で言うと初冬に近い。朝晩の気温は5度を下回ることも多く、日中は10度前後。朝は薄い氷がはったり、霜が降りたりしていた。
2.食事:
食事は日本人にはあまりストレスが無いかと思われる。朝はビュッフェでパン、ハム、チーズ、生野菜、コーンフレーク、ミューズリなどの組み合わせ。昼と夜はスープとワンプレートの食事。スープは日本人にも抵抗無くおいしい。ワンプレートの内容は肉と炭水化物の組み合わせがほとんど。炭水化物は米、ポテト、パスタ、クネドリーキ(蒸しパンのようなもの)で肉が食べられない選手にもベジタリアンフードは提供される。野菜が朝しか出てこなかったので、ビタミンの不足が懸念されたが、このトレーニングキャンプ中は支障なし。夏のたくさん汗をかく時期は多少のミネラル補給が必要かもしれない。水は基本的に飲めないのでミネラルウォーターを飲んだ。トレーニングキャンプ中は、トレーニング後にすぐに食事をとるため、バナナやビスケットやポテトチップス(!)などを補給食とした。
3.英語:
大都市で無い場合、英語を話せる人は少ないかもしれない。今回のトレーニングキャンプが行われたZlate Holyではオーガナイザー以外は英語が堪能ではなかった。
4.テライン:
地面は全般的に硬く、しまった土である。一部北欧のように苔むした地面や、岩石地帯、また地面が見えないほど(15cmくらいか)草が生い茂る部分も見られるが概して走りやすい。コンタリングでは日本の感覚で走ると上目に出てしまうことがほとんど。登りすぎに注意という言葉も選手から聞かれた。
植生は基本的に良い。10月段階の植生なので来年7月にはどうなっているかはわからないが、Bやぶは横枝が張り出した林と細い木が密に生えている場合が多い。日本のような絡みつく藪は少ない。CやDは季節柄走れる部分も多々あった。しかし、現地の人によると、夏にはとても入れないらしい。我々が気をつけなければならないのはB(あるいはC)とオープンのコンビネーションか。見通しが悪く、方向維持が難しい局面で正確に進むトレーニングが必要。
コントロールがおかれるのは、特徴物が数多く存在するところ(岩がいっぱい、藪とオープンのコンビネーション、数多くある溝の分岐など)と逆に何も無い所(のっぺりした斜面の岩、穴、藪の中の岩など)の2つのパターンに分かれる。どちらにも共通するのは、円の近くまでは簡単にナビゲーションできる(スピードを出せる)が円の中心に行くときには細心の注意が必要という点である。体力的なレベルアップとこの点がチェコの世界選手権で肝になると思われる。
(3)チェコミーティングに対する準備と現状
1.目標設定
全日本選手権が終わってから、体力的な目標設定とチェコミーティングでの数値目標を設定した。体力面での目標設定は5000mのタイムを想定した。5000mのタイムが全てではないことは今回の合宿でよくわかったが、わかりやすいので入れておく。ちなみに(1)はすべてが完全に上手くいったときの達成目標、(2)は妥当な目標、(3)は最低限の目標、(4)は5000mの目標としている
(1) トップ比115%以内 ミス率5%
(2) トップ比120%以内 ミス率10%
(3) トップ比125%以内 ミス率15%
(4) 5000m=17分55秒(世界のトップを15分とした場合119%)
2.全日本選手権以降のトレーニング
(1)トレーニング量と割合
| トレーニング | MAX | MHI | LMI | LI | VLI | その他 | |
| 7月 | 61:14:00 | 1:04 | 4:57 | 14:09 | 17:31 | 17:44 | 5:46 |
| 8月 | 58:48:00 | 3:50 | 4:48 | 8:31 | 12:45 | 23:39 | 1:06 |
| 9月 | 53:51:00 | 4:47 | 4:22 | 11:27 | 11:36 | 20:28 | 0:57 |
http://diary.jp.aol.com/f8uett6q/
(2)9月以降の大会結果
| 大会日 | 順位 | コースプロフィール | 大会名 | トップ比 | ミス率 | 巡航速度 |
| 9月9日 | 1位 | M21E/8990/370 | 東北大大会 | 100.0% | 9.9 | 89.1 |
| 9月15日 | 2位 | ME/3100/78 | 駒ヶ根大会スプリント | 100.8% | 5.5 | 100.5 |
| 9月17日 | 6位 | 7H/5900/370 | CC7 | 115.4% | 18.4 | 98.3 |
| 9月23日 | 1位 | 12時間の部 | 菅平ロゲイン | |||
| 10月7日 | 4位 | 全日本リレー選手権 | 104.9% | 10.7 | 97.6 |
7月、8月はオリエンテーリングを全く行わず、9月以降にオリエンテーリングを始めた。チェコトレーニングキャンプまでのオリエンテーリングレース回数は4回。ミスを減らすよりも巡航速度を上げることを意識した。スプリント以外はミス率10%以上が当たり前でオリエンテーリングの技術的な準備は出来ないまま、チェコのトレーニングキャンプを迎えた。
(3)トラックタイム
直前に全日本リレー選手権があったため、5000mのタイムトライアルは出来なかったが3000mのタイムトライアルでは10分05秒で走れている。遅く見積もっても、5000mでは17分で走れるタイムであり、トップ比117%(世界トップが14:30とする)と目標は大きく達成された。
3.チェコミーティングでの結果と考察
- ミドル[6000m、↑280m] トップ39:33に対して51:47で130%
- ロング[10000m、↑305m] トップ60:31に対して77:45で128%
ラップ解析がないのでなんとも言えないが、単純な走力を生かしきれていないことは明らか。明らかなミスを差し引くとミドルでは48分程度、ロングでは72分程度でトップ比はどちらとも120%前後に落ち着く。ミドルに関しては、47分あたりの層が厚く、自分の手ごたえからもこのあたりがボーダーである可能性は高い。自分のラップを見てみると、跳びぬけたラップは見当たらず、上手く走れたと感じている部分も相対的に見れば速くないという結果だった。ロングについては60分の後半の層が厚く、このあたりがボーダーだとするとボーダーからは遠い。ただ、ロングにおいてはなんと一桁台のラップが2つあった。どちらとも前に選手を上手く利用したレッグだが、単純な走力だけならばやはり改善しているのだろう。数字の根拠は無いが、コースがある程度コントロールされた場合、ミドルはトップ比120%を切る程度、ロングはトップ比115%を切る程度が予選通過のラインになるのではないだろうか。
4.更なる考察
平地を単純に走る走力で見たら、世界のトップ選手が5000mを14分30秒で走るとしても、それに対して117%のレベルに仕上げることが出来た。にもかかわらず、完璧なレースをしても120%が切れない。これはすなわち自分の技術があらゆる場面で未熟だということを示しているわけだが、今回の合宿では走力アップとともに、この部分の伸びしろを上手く解決すればチェコの世界選手権で満足の行く結果を上げることが出来るのではないかという手ごたえをつかんだ。
彼らとの差を顕著に感じた部分は
- 道走りでのギアチェンジ(一気に早くなる)
- くだりでの思い切りの良さ(多少地面が荒れていようが、横枝が飛び出していようがガンガン下る。
めちゃくちゃ速い!) - コントロールに入る手前での地図読み(スピードをキープしてしっかり地図を読んでいる)
これらの部分を改善するためには、単純なスピード(トラックのスピードといっても良いかもしれない)+オリエンテーリングスピードの両方を改善する必要がある。特にオリエンテーリングスピードの改善はリレートレーニングなどを数多く行い身体で身に付けなければならない。足場の悪い斜面を高速で躊躇無く走る技術は筋力も必要だしテクニックも必要だからだ。また、先にも書いたがコントロールの設置場所は非常に意地悪でスピードの緩急を意識しなければ小さなミスをたくさんしてしまう。この部分は日本ではなかなか改善が難しいかもしれないが、テラインを選んで練習すれば可能だと思われる。
5.以降のトレーニング
チェコでのトレーニングキャンプでのもう一つの収穫は身体の変化だ。明らかに身体が疲れにくく、また回復しやすくなっている。キャンプ最後のレースでもフレッシュに走ることが出来た。今まで、自分が足りないと思っていた部分だけに、これは非常に評価できる。ただ、この状態は質の高いトレーニングが沢山積める状態になったということを示しているに過ぎないと思う。これから11月から2月にかけては再び身体作りの時期になる。その後2月〜6月にかけていかに質の高いオリエンテーリングのトレーニングを沢山積めるかがチェコでの世界選手権での結果を左右するだろう。そのことを念頭に置きトレーニングする。
