いよいよ今年も世界選手権が近づいてきた。全日本チャンピオンの加藤を筆頭に各選手が目標である個人戦の予選通過とリレー20位の目標を達成できるか注目される。
今大会で興味深いのは初出場が3名いることである。2005年の愛知での世界選手権以降、初代表を経験したのは06年の加藤・朴峠、08年の石山・稲葉。今年の3名は例年よりも多く、特にここ数年メンバーが固定されていた男子に2名の新戦力が入っていることがよりフレッシュな印象を与えている。
とはいえ今回の初代表3名もこれまでにジュニア選手権(JWOC)やユニバーシアード(ユニバー)で国際レース経験を積んできてからのA代表入り。満を持しての出場であり、他の経験組と同等の成績を期待することができるだろう。
ここで過去の成績を見ていると面白い点に気づく。女子の初代表の関谷はJWOCを経験し、インカレ個人戦で4度の優勝、ユニバーシアードも経験しての世界選手権。まさに大学生オリエンティアのエリート街道を進んでいるといってもよい。一方で男子初代表の西尾は、学生時代はJWOCを経験し、インカレでも強豪校で優勝も経験、ユニバーシアードを3度経験するなど、学生のことから期待される選手でありながら、競技暦10年目での初代表。藤沼はJWOCには行けず、インカレでは新潟大学を引っ張る地方の星として入賞を経験、昨年始めてユニバーシアードで国際レースを経験した。それぞれキャリアが少しずつ異なっている。彼らのこれまでと今、そしてこれからについて聞いてみた。
インタビュアー 小泉成行(O-Support代表・ときわ走林会)
―今年の大会にはどんな目標をもっていますか?
関谷:08年のユニバーで全く太刀打ち出来なかった苦い経験があるので、自分の力で「走りきった」と言えるレースをすることがひとまずの目標です。
―具体的にはどのくらいのタイムで走れれば、「走りきった」と満足できると?
関谷:タイムとしては140%を切ることが目標です。
―インカレでの優勝など抜群のキャリアを引っさげての世界選手権ですが、世界選手権を目指すようになったのはいつ頃でした?
関谷:上を目指して頑張っているうちに、自然に目指していたような気がします。一番初めのきっかけはというと、06年のJWOCだったと思います。「もう一度あの舞台で」「今度は互角に走ってみたい」それがずっと続いている夢なのだと思います。
―今大会は関谷さんのキャリアにおいてどんな位置づけになってくる大会だと?
関谷:贅沢な言い方ではありますが、今後の自分の目指すところを見つけるため、だと考えています。今回のWOCの目的でもあります。今の自分の力でどのくらいの位置に行けるのかを知りたいですね。そして来年以降どうありたいのか、次へのステップアップのきっかけとしたいと考えています。
―日本代表チームのあり方が問われる昨今ですが、日本代表チームが目指すべき目標(夢)ってなんだと思いますか?
関谷:個人種目としては、皆が決勝で戦えるようになること。リレーも面白い位置で戦えるようになること。もっと本当に「戦える」場面が増えればもっともっと面白くなると思います。
―藤沼さんは長期的な目標を視野に入れてオリエンテーリングに取り組んでいる印象を持っていますが、そもそも藤沼さんにとって世界選手権を目指したきっかけは何?
藤沼:日本代表に関心を持ったのは2005年の愛知WOCから。その後は、インカレ入賞・ユニバーと段階的に目標としてきましたが、日本代表とは常に比較して意識してきた。 『絶対に世界選手権で結果を出すんだ!!!』と考えるようになったのは去年のユニバーで惨敗して、『このままでは絶対におわりたくない』『国際大会で結果をだしてみたい』と思ったから。
―ユニバーなどに出てみて、そう思う選手は大勢います。それを実現できている点に私は可能性を感じますが、藤沼さんにとって世界選手権とはどんな大会でしょう?
藤沼:世界選手権は結果を出しに行くところなので、結果にこだわりたい。
―ズバリ、今年の大会の目標は?
藤沼:男子では2005年以来予選通過者が出ていないので、まずはそれが目標。順位やタイム比より、どんな形でもいいから予選突破を目標にしている。
―どのくらいの結果を残したいと?
藤沼:そうっすね、ロングで予選突破するならトップ比で114%、スプリントなら107%くらい。決勝に残ったらどっちも40位以内には入りたい。
―これから日本代表の中心になっていく世代としてどういうイメージを持っているのか気になります。
藤沼:今のところ個人で日本の選手が上位で活躍するのはあまりイメージできないが、チームワークというか、個人の力のみでなく様々要因の絡むリレーを目標にして、いずれは入賞を目標にすると良いのではないかと思う。
―リレーは1+1+1=3ではないと?
藤沼:去年のイギリスは個人ではそこまで目立った結果を出す選手がいなかったが、リレーでは優勝している。また、リレーは国と国との威信をかけた戦いだと思うし、1番盛り上がる種目であることから、日本チームとしてもリレーの結果が向上していけばより活性化していくと考えています。
―個人としてはどこまでできそう?
藤沼:今後の個人の目標としても、まずは予選突破から、予選突破を当たり前にして、段階的に順位を上げていきたい。
―西尾とは学生の頃からの付き合いだけど、やっと来たね、という感じがする。世界選手権を目指していたのはもちろん知っているけど、これまで長い間、挫けずに目指し続けて来れたのはなぜ?
西尾:そこが最高の舞台だから、です。
―明快でよいね。変な言い訳や理由づけもいらない。経験値は十分あるので今年の大会の目標も明確なのでは?
西尾:ミドルでは予選突破、リレーは20位以内をチームとして目指したいです。
―リレー20位っていう目標は、全メンバーが共通してもっている目標のようだけど、それはどうして?
西尾:日本代表が目指すべき目標は、まずリレーの入賞だと思います。2008年のWOCリレーで中国女子チームがその可能性を示してくれました。現実的な目標として、男女共に、リレーでの入賞を目指した強化を進めるべきです。
―20位っていう数字はその目標への第一歩だと。私の経験上、現状では20位以内を狙うことは十分可能だと思うけど、それより先、たとえば10位以内を現実的にするためには、個人の取り組みも今のままでは不十分だと思っています。これからのことはどう考えている?
西尾:今後のことはまだ考えられないです。今の自分には"今"がすべて。その先のことは、これまで10年間取り組んできたことの全部を出し切って出た結果から考えます。まずは、今回の世界選手権に対する自身の目標を真摯に捉え、最高のパフォーマンスを発揮することを考えるのみです。
―次を考えられるものを掴んで帰ってきてくれることを願っています。ありがとうございました。
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