前回に引き続き、O-Ringenの参加記を書いていきます。今回はいよいよO-Ringen本戦に入ります。かつて日本が大会運営についての多くを学んだとされるO-Ringen、その本物を体験してきました。
宿から歩いてしばらく、駅を過ぎた頃からいかにもオリエンティアな人たちが自転車で僕らを抜いていきました。このあたりは日本と変わらないですね。第1日目の会場はO-Ringenタウンの少し奥に位置し、1日目のほか4・5日目も同じ会場になります。
会場手前はテントサイトになっており、何百というテントが連なっています。キャンピングカーで来ているところもたくさんあります。今起きたような人、ウェアを着替えて準備万端な人、日光浴をしている人、様々です。
後から知ったのですが、このテントサイトの入口・イベントセンター・駅などを結ぶ巡回バスが無料で運行されていました。(プログラムにはちゃんと書かれています。)我々は宿が遠かったのでこのバスをどう使うかが重要でした。しかし始発が10時ということで、早いスタート時間の日は使えませんでした。
さて、会場に着くとさすがに広いです。どこに何があるのかよく分かりません。会場案内図も見当たりません。しかし入口から入ればすぐに巨大なフィニッシュレーンが目に入ります。それを囲うように競技者の待機場所となっているのがわかります。
海外の人はブルーシートのような敷物は使いません。こういうのを使うのは日本人だけということでした。ではどうするのか?と言えば地面に直に座ったり、椅子付きリュックなどの椅子に座っています。最近の日本ではあまり見かけない椅子付きリュックですが、こちらでは本当に多くの人が使っていました。
我々が会場に着いた頃、もう帰り始める人たちがいます。参加者が多いだけあって、スタート時間もかなり長く、走り終わった人はすぐに帰ります。なので1万人以上の参加者がすべて会場に集まるわけではなく、常に参加者の循環があります。その為でもあるのでしょうが、同じクラブの人たちは皆同じような時間帯のスタートに設定されています。
会場には他に、Miniknat(キッズO)、Direct Entry(当日参加)受付、TEAM SPORTIAのお店、COOP、屋外シャワー、速報ボード、その他売店などがあります。
左の動画は5日目のものですが、会場をしばらく歩き回ってみたものです。少しでも雰囲気が伝われば。フィニッシュレーンのそばにある立て札は歩くエリアと座れるエリアの境界を示しています。
会場内に大きなスタートゲートがあります。そのゲートをくぐり、スタート地区へと向かいます。各参加者には右図のような案内図が先に配布されています。
O-Ringenも普通のクラスだけでH/D10からH/D95までたくさんのクラスがあります。(H=男子、D=女子、10歳から95歳まで!)なので日本でもよくあるように幾つかのクラスごとにスタート地区が分かれています。そして、そのスタート地区を表したのが右の図です。
このたくさんあるスタート地区のうち、自分が行くべきスタートはどれかと言うと、それはナンバーカードに書いてあります。下が実際に使用した私のナンバーカードです。
この一番上に書かれている「TEAM SPORTIA」というスポンサー名、これが目印になります。案内図のTEAM SPORTIAの場所が私のクラスのスタート地区になります。
ゲートをくぐった後はテープ誘導は無し。ほぼ道なりに進み、分岐地点などでは上記のスポンサーロゴによって進むべき方向が示されます。日本ではスタート地区が分かれても2つなのでそんなに必要は無いかもしれませんが、文字ではなく図で示すことにより非常に分かりやすいものになっていると感じました。
また、ナンバーカードには他にIDナンバー・名前・クラブ名・SIナンバー・クラス・スタート時間が書かれています。スタート時間は身に着けたときに見やすいように天地逆転で書かれています。もちろん、5日間共通で使用します。 (ちなみに、クラス名のH21 KORTとは日本でいうM21ASクラスのことです)
スタート地区に着くとあとは日本とそう変わりません。3分前に枠(というかテント脇のレーン)に入り、SIとナンバーカードのチェックを受けます。2分前枠で位置説明を取りデフケースへ。1分前枠には籠に地図が入っており、その前で待ちます。日本でのレースと違うのは、この1分前枠での並びが縦になっていることです。一番前にH21L、その次にH21、H21Kと続き、その後ろに女子クラスが並びます。日本だとこの辺は横に広く並んでいると思います。
この縦に並ぶ利点は横に狭い場所でもできる、速そうなクラスを前にすることでスタート直後の場所争いや渋滞が避けられる、といったところでしょうか。また、複数のクラスが同じレーンなので、運営の人数も抑えようと思えば抑えられます。
ちなみに、私は4日目にナンバーカードを宿に忘れてしまい、それを取りに行くタイムロスで遅刻スタートとなってしまいました。この辺の処理は日本も海外も変わらずでした。スタート役員に声をかけ、SIのチェックをしてそのままスタートしました。役員の方に「Good luck」と声をかけられたのがやけに印象深いです。
競技自体は日本もO-Ringenも変わりません。スウェーデン語が分からなくても英語が分からなくてもレースには関係ありません。これもオリエンテーリングのいいところの1つでしょう。
1万人以上も参加者がいるんだから、終始集団の中でのオリエンテーリングなのでは?とも思いましたが、意外とそうではありませんでした。ちょっと奥のほうでは1人でいる時間も多かったですし、各々のレベル・スピードもまちまちなので、あくまで自分のレースを楽しめます。クラスも多いので、人について行っても同じコントロールとは限りませんし。
現在地を聞かれることはよくあります。こんな東洋人の速くなさそうなおっさんでも聞かれます。早口の英語で聞かれても良く分かりませんが、とりあえず現在位置を指差せば相手もわかります。...何回か、教えた場所が間違っていた気もしますが。
自分のレースができると書きましたが、それも最終コントロールの1つ前のコントロールまでです。最終コントロールだけは全クラス共通です。よく最終コントロール~フィニッシュのラップタイムに全力注力している人を見かけますが、O-Ringenでは1万人以上とそのラップを競えます。というわけで、最終1つ前から最終コントロールへはバラバラの場所から選手たちが一斉に集まってくるので、そのあとを着いていけばたどり着きます。前の人が遅ければ、抜きます。抜いても抜いても前には選手がいるのでつぼることはありません。
今回のO-Ringenは比較的道の発達した場所であり、難易度としては易しめだったのではないでしょうか。最初はスウェーデンということでかなり覚悟していたのですが、かなり普通にオリエンテーリングをすることができました。 特に、1日目最初のレッグは本当に簡単で「これは慣れさせるための体験的レッグなのかな?」なんて思いました。
もちろん難しい場所はあって、そこでは外国人も普通につぼっている人が大量にいます。しかし全般的に日本でのオリエンテーリングの経験はちゃんと活きますし、それで対応できないというものではありません。日本も海外も基本は同じ。道があって川があって等高線があって、尾根があって沢がある。そんなものです。
テレイン全体としてはやはり平らで、1レース走りきってもそこまでアップは感じません。爽やかに走り抜きたい人には北欧のテレインは理想的だと思います。日本よりもかなりスピードを出したオリエンテーリングが楽しめます。
いよいよフィニッシュです。あのO-Ringenの目玉ともいうべきフィニッシュレーンが眼前に広がります。これはある種の感動を覚えました。身体が震えました。レーンの脇には多くの人が応援で群がっています。たとえその声援が私に向けられていないとしても、それだけの中を走りぬけることができるのは感動ものです。
フィニッシュレーンはクラスごとにいくつもに分かれています。これもナンバーカードのスポンサーロゴでどのゲートをくぐればいいのかがわかります。絶えずフィニッシュへ選手がやってくるので、それを見ているだけでも時間を忘れさせます。
あとはフィニッシュテントでSIのチェックを受け、ラップをもらい、ジュースをもらって終了です。これも日本と変わりませんね。レース後の表情や感想談義も変わりません。
1日ごとの表彰はありませんし、速報もすべて出るまで待つのは非常に時間がかかります。補給や買い物をして宿に帰ります。今回は天候があまりよくないこともあって寒かったので、COOPで販売していたハンバーガーは暖かくてとても美味しかったです。5日間毎日食べました。
帰り道の途中のスーパーで夕食の買い物をして、それでも宿に帰ってまだ昼過ぎです。(スタート時間によりますが。)のんびりとシャワーを浴びたり昼間の反省をしたり雑談したり。好きなオリエンテーリングをして午後はのんびりと...この生活は間違いなく幸せです。ただ、あまりに時間があるので暇をいかにつぶすか(活かすか)を考える必要はありそうです。
そんなこんなでO-Ringen5日間はあっという間に過ぎていきました。自炊の夕食は1日ごとに確実にレベルアップし、5日目のチェイシングには私は残れませんでしたが、何人かが残りしっかりと「競い合う楽しみ」も満喫していました。
私としては、競技はもちろんのことですが買い物が楽しかったですね。右の動画は会場にあったお店の内部の様子です。しかしこれはあくまで出張店といった感じであり、イベントセンターにはこの6~7倍の大きさの店が出来上がっていました。そこで買ったもの(一例)は今後の日本の大会でも販売しますので、興味がある肩はO-News Shopへおいでください。
O-Ringen後はもう1泊し、次の日の朝にEksjöを発ち、再びX2000でMälmö経由でコペンハーゲンに入り、そこから日本へ。コペンハーゲン空港の登場口には日本人がたくさんいて、そこで海外生活の終了を感じました。
今回のO-Ringenの参加者数は約11,000人ほどだったそうです。昨年が24,000人だったことを考えると大幅ダウンです。1人あたりの参加費を1000クローネとすると、1万人減れば1000万クローネ、日本円にして約1億3,000万円の減収となります。まさに桁違い。
この影響か、それまでのO-Ringenに参加したことのある人からは「今回のO-Ringenはせこい」「会場も盛り上がりにかける」「寂しい」などの声を聞きました。フィニッシュレーンももっと長かったそうですし、フィニッシュ後の給水も今回は1人1杯に制限されていました。
初めての私には今回の規模でも十分に驚きなのですが、その倍以上の参加者がいた前回はもっと凄かったのでしょう。今回の参加者減は世界的不況の影響とも言われていますが、さて来年はどうなることでしょう。
来年のO-Ringenはスウェーデン南部、ストックホルムの西、Örebroという街で行なわれます。交通の便もいいところなので、オススメの場所だということです。 私は今回、幾つかの事情と偶然が重なって参加することができ、この1回だけのつもりでいたのですが、実際に参加してみて「これはぜひもう1度参加しなければ!」という気持ちになりました。それほどに楽しい素晴らしい遠征でした。1人で行ってはあんまり楽しくないかもしれませんが、仲間と一緒に行けばかなり楽しいものになると思います。 まだ未体験の方は、ゼヒ!
最後に、今回のO-Ringenでかかった費用をまとめてみたいと思います。スウェーデンの通過はスウェーデンクローネ(SEK)ですが、レートは1SEK=約13円で計算しています。
| 項目 | 内容 | 金額 | 備考 |
|---|---|---|---|
| エントリー費 | 通常エントリー | 16,000円 | 早期エントリーは100SEKほど安い |
| 交通費 | 航空券(成田-コペンハーゲン往復) | 162,745円 | |
| コペンハーゲン空港-コペンハーゲン中央駅 | 600円 | ||
| コペンハーゲン中央駅-Mälmö | 1,400円 | ||
| Mälmö-Nassjö | 8,800円 | 往復 | |
| Nassjö-Eksjö | 1,200円 | 往復 | |
| Mälmö-コペンハーゲン空港 | 1,300円 | ||
| 宿泊費 | 宿泊(Copenhagen) | 10,850円 | 1泊 |
| 宿泊(Eksjö) | 14,000円 | 7泊 | |
| 食費 | 自炊分 | 3,000円 | 約1週間の朝食・夕食 |
| 昼飯代 | 2,500円 | ハンバーガーやジュース等 | |
| 合計 | 222,395円 | ||
エントリー費・宿泊費・X2000のチケット代などは事前に日本で購入支払い済みであり、毎日のスーパーでの買出しはカード払いでした。現金を使うことは少なく、Malmöで両替した1万円(=750SEK)で十分、少し余るくらいでした。現金まったく無し、というのはちょっと困ると思いますが、カードさえあれば大抵何とかなるようです。
費用としては、上記のほかに成田までの交通費やお土産代などが加わりますが、合計で23万弱というところでしょうか。今回は現地の民家を借りて全員で費用を割ったり自炊で食費を浮かしたことによりそこでの費用がかなり抑えられました。 参加が決まったのが突然だったので航空券はこれでも安いほうだったのですが、もっと早く、そして航空会社を選べば10万以下のものもあったようです。
どうやら毎月2万円くらいの貯金をしておけば、毎年参加も視野に入ってきそうです。もちろん、年によって開催地も変わりますし宿泊も変わってきます。それでも大体の費用として参考になればと思います。
今回のO-Ringen参加記はとりあえずこれにて終了です。何か質問等あれば、コメントにお願いします。メールでの結構です。質問がたくさんあれば、またそれをまとめてみても面白いでしょう。 それでは、次回一緒に参加できることを祈って。
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