フットOの世界選手権はいよいよクライマックス。日本選手が出場するのは残すはスプリント(予選・決勝)とリレー。スプリント予選もミドル・ロングの予選同様、一筋縄ではいかない戦いが予想されるが、現地でも好調の全日本スプリントチャンプの加藤や、WOCスプリント予選通過率100%の皆川をはじめ期待したい。
ところで今年、チーム関係者から聞こえるのが「リレー入賞」と「まずリレー20位以内」という2つの言葉。
世界選手権のリレーで具体的な順位目標が掲げられるのは地元開催の2005年愛知大会以来のことではないだろうか。愛知以降、日本チームは個々の取り組みこそあれ、全体的な目標や長期的なビジョンが語られることはほとんどなかった。
しかし、今年の大会への準備過程から先の2つの言葉が語られる。
「リレー入賞」
地元愛知でのWOCでさえ叶わなかったこの偉大な目標は、しかし日本代表チームが常に夢見てきた目標でもある。
近道は誰もが思いつく。例えば選手候補がヨーロッパへ行き、何年間かオリエンテーリングをみっちり仕込んでくればよい。しかし、それを実行しようとする選手はいない。理由はいろいろあるが、要は勇気がないのだ。方法を語るのか簡単だが、それを実行するには大きな勇気がいる。失敗を最初から考える選手は日本代表にはいないだろうが、しかし成功したからといって日本での生活も保障されているわけではない。そのまま海外へ住み続ければある程度の保障はあるだろうが、日本を飛び出せる人間がそんなにいるわけはない。
言い出せばすべて言い訳になる。本当の成功者はそんなことに悩んだりはしないのだろう。
しかし日本代表は勇気がない。まだ弱いからだ。弱虫が勇気を持つにはきっかけが必要。
「まずリレー20位以内」
そこで掲げられた目標がこの数字だ。20位以内といっても参加国中の半分くらい。何がすごいってわけでもない。 しかしそんなすごくない数字がきっかけとなることを彼らは知っているのだ。
20位について、全日本チャンプの加藤がこう語っている。
「(男子の)過去3年のデータから、20位以降はタイム差が広がっている。日本もそのグループの中の1つだけど、20位以内のタイム差はあまりない(参考図:各チームの3年間の対トップ比平均。赤が日本で25位の128%)。このグループを抜け出せば10~15位へ絡むことも可能になる。それが見えれば入賞の背中を追うことができる。」
加藤が示した男子のデータで見ると、20位以内を目指すならば優勝チームのタイムの120%以内で走ることが最低ラインとなる。仮に優勝タイムが2時間20分(140分)の場合、2時間48分(168分)以内でフィニッシュする必要がある。リレーを走る予定の加藤・紺野・松澤の個人戦のそれぞれのトップタイム比は118%(ミドル)、128%(ミドル・ロングとも)、125%(ロング)。
入賞という夢は競技者としての純粋な挑戦だ。しかしそれ以上の夢を乗せている人もいる。メディアへの露出増加。スポンサーの獲得。愛好者の増加。それらの夢は、入賞したからといって達成されるものではない。しかし1つのきっかけには確かになりえる。
入賞へ続く道を築くことができるのか。「きっかけ」を求める日本代表の戦いに注目。
O-Support代表:小泉成行
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