来週には台湾でワールドゲームズが、その1ヶ月後にはハンガリーで世界選手権が開幕する。両大会は、今年のオリエンテーリングのトップシーンにおける2大イベントと言えるだろう。日本代表の闘いぶりが注目される。ワールドゲームズを控えた小泉成行選手と世界選手権を控えた松澤俊行が、お互いの目標について話し、健闘を誓い合った。今回は、その対論の様子をお伝えしたい。
- 松澤 今回の対論の主旨は、日本チームの現在置かれた状況や国際大会での目標を確認し、O-News読者の皆さんにも知っていただこう、そうして観戦や応援、成績チェック時の評価に役立てていただこうというものです。
私と小泉選手は気心知れた間柄ですが、日本全国オリエンテーリング内外の方々が注目するサイトに掲載される記事ですから、ややかしこまって、話を進めたいと思います。宜しくお願いします。
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小泉 こちらこそ、宜しくお願いします。
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松澤 まず、ワールドゲームズについて、名前は知っていてもどんな大会か、どのような形式で競われるかを知らない読者も多いと思われます。小泉選手から、ちょっと説明してもらえるでしょうか。
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小泉 ワールドゲームは第二のオリンピックと言われる大会で非オリンピック種目のスポーツが一堂に会するスポーツの祭典です。この大会からバドミントンやトライアスロンもオリンピック種目になるなど、実はとても注目を集めている大会です。
オリエンテーリングは2001年の秋田大会から正式種目になり、今回で3回目、日本選手の出場は秋田以来2大会ぶり2度目です。前回大会は2005年にドイツで開催され、日本では愛知での世界選手権がありすっかり影が薄くなってしまいましたが、男女とも愛知での世界選手権者が優勝するなどトップクラスの争いが行われるレベルが高い大会として位置づけられています。
今大会も男女合わせて40人しか参加できない狭き門で、各大陸の世界ランキングトップの国から選手が参加します。日本はアジア代表としての参加。昨夏のアジア選手権での活躍のおかげですね。
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松澤 まさに『世界選抜』戦ですね。出場選手の平均レベルでは、世界選手権以上といえるでしょう。スケジュールや競技形式は。
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小泉 ワールドゲームズは7月16日の晩に開会式があり、17日からさっそくオリエンテーリング競技が始まります。17日はスプリント、18日はミドルディスタンス、19日は男女混合国別対抗リレーです。
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小泉 はい。
話を続けますと、全コースとも都市公園に設置されるため、スプリント仕様の大縮尺のマップを使い、目まぐるしいレース展開が予想されます。また大型スクリーンにGPSでの追跡実況など、ヨーロッパのビック大会のような演出も用意されているとのことで、観戦するスポーツとしても期待できる舞台が用意されているようです。
WG2001優勝のハンネ・スタッフ
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松澤 それは楽しみ。競技だけでなく、まさに世界最高クラスの大会ですね。
2001年に日本で行われた大会には私も出場しており、総合スポーツ大会独特の華やかさを経験しました。ある種の物々しさを感じたぐらいです。
競技の記憶では、スタート枠から、観戦に来ていた小泉選手の姿が目に映ったことをよく覚えています。大きいし、麦わら帽子をかぶっていて目立っていましたから。
今回は、注目されてスタート枠に立つ側に回り、心中期するところもあると思います。ワールドゲームズが小泉選手の目標の1つとなったのは観戦した時からでしょうか?
WG2001優勝のグラント・ブルイット
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小泉 さすが記憶力抜群ですね!麦わら帽子でしたよ、確かに。
2000年にも富士でワールドカップが開催されましたが、あのときは霧が濃く、着いたときにはレースも終わっていたので2001年の秋田大会が私にとって初めての国際レース観戦でした。そりゃもう楽しみで、秋田までの遠路も苦にせず出かけたのをよく覚えています。
当時女子の世界トップで、個人戦で優勝したノルウェーのハンネ・スタッフと一緒に写真を撮ってもらったりして、目指す舞台と言うよりは、ただの憧れでしたね。いつか出られたらいいな、くらいは思っていましたが。ただ、そのとき男子個人戦で優勝したのはあまり強豪ではないオーストラリアの選手でした。」
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松澤 グラント・ブルイット選手ですね。彼は、パーク・ワールドツアーの中国大会でも勝っていましたし、アジアの大会では活躍が目立ちました。」
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小泉 ともかく、日本選手だって彼のように本気で取り組めば、世界の舞台で大活躍できるのでは、という期待を感じさせた大会でもありました。今考えれば、やはり秋田大会が、私が世界に挑むきっかけを作った大会だったかもしれません。
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松澤 その後、世界選手権やワールドカップ等、何度も国際大会を経験した小泉選手は、もはや世界を肌で知る選手です。初出場となるワールドゲームズの目標は。
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小泉 開催国として出場した秋田大会の順位を超えることですね。そしてリレーでは、アジアのライバルはもちろん、ヨーロッパのライバルにも地の利を生かして食い込みたいです。
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松澤 秋田大会の話が出たところで、参考までに。その時、個人戦では私が23位、当時女子チームの中心の1人だった塩田美佐選手が26位となっています。リレーはヨーロッパ勢の後塵を拝し、最下位に終わりました。
秋田大会以上の活躍を目指し、共に闘うチームメイトのPRもしてあげてください。
ワールドゲームズ壮行会
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小泉 加藤選手、番場選手はもはや説明不要でしょうが、全日本チャンプ夫妻です。特に加藤選手はここ最近ノッているので、8月の世界選手権を含めて彼の走りに注目している人は多いのではないでしょうか? しかし個人戦では彼には負けたくないです。同期のライバルってそういう存在です。皆川選手もここ最近、調子がいいので過去の世界選手権で見せた勢いのある走りを期待しています。
何より歳の近いこの4人で同じチームを組めることがとても光栄です。なにせ4年に一度ですからね。なかなかない機会です。
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松澤 まさに黄金世代で挑むワールドゲームズですね。期待しています。
次は世界選手権の話に移りましょうか。今年の代表チームは、昨年とは若干顔ぶれが変わりました。自分のいないチームの様子を、3ヶ月間ほど眺めての感想は。
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小泉 初めての世界選手権に臨む若手選手の調子が良く、それに負けじと経験組がさらに伸びていて、とても勢いのあるチームに感じられます。またリレーに重点を置き、メンバー選考を早い段階で考えている点にも注目しています。
男女ともトップ選手が中心となり、代表選考会の前から若手選手を集めて共通目標の設定やトレーニングのアイデアを出し合うなどいつも以上に一体感を感じます。
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松澤 さすが、良く見ていますね。内部にいる者の見解、感想も一致しています。メンバーたちは刺激を与え合い、激しい競争通じて理解を深め合っています。コミュニケーションも、例年以上に活発ですね。
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小泉 世界の強豪国ってホントにチームメイト同士の仲がいいんですよ。今年の日本チームもよそよそしさがなくて、明るい雰囲気ですよね。これまでが暗かったわけでもないですけど(笑)
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松澤 私も若い西尾選手、藤沼選手と、冗談を言い合ったりしています。
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小泉 そこに自分がいないことに、ちょっとヤキモチを妬きそうなくらいです。
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松澤 是非今度、小泉選手も藤沼選手や西尾選手たちとの成人男性向けトークに加わってください。
それはさておき、先ほどリレーの話が出ましたが、実は男子は、今年のチーム内に『昨年リレーを走った選手』がいません。ということで、リレーをどう闘ったら良いか、昨年2走の小泉選手からアドバイスを聞きたいと思います。読者の方々に『見所はどこか』『日本チームに何を期待したら良いか』が伝わるような話も交えてもらえると助かります。
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小泉 昨年の経験者はいませんが、一昨年の経験者が3人ともいますし、さほど心配はしていません。昨年走って思ったのは、とにかく失敗を恐れずに勢いよく走れば日本選手だって十分に上位を狙える、ということです。まずは男女とも20位の壁を破りたいですね。20位台と言うのは個人戦で予選通過をできるかできないかくらいの、まさにこれまでの日本と同じくらいレベルの国がいるゾーンです。20位以内は、個人戦に3人いれば2人は予選を通過してくる国。決勝に進む選手が複数人いる国ということになります。
決勝に出る選手はもう本当にトップアスリート。そんな選手が2人以上いれば国内での争いもレベルが高くなりますから自然と順位は上がっていくはずです。
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松澤 『決勝に出る選手はトップアスリート』という意見には同意します。どんなスポーツでも、熱心なファンは世界上位20~30人、あるいはそれ以上の数の選手名をすらすら挙げられるはずです。そして、その誰もが強く、個性的であることを知っているでしょう。オリエンテーリングもそういう見方をすれば、国際大会の成績チェックが楽しくなると思います。
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小泉 ということで、日本チーム以外の見所も紹介しますと、昨年、初めてのリレーでの栄冠を目前にしながらエースのティエリー・ジョルジュを襲ったアクシデントで失格となったフランス男子チームが雪辱を果たせるかに注目しています。また出産後の初めての世界選手権となるスイスのシモーネ・ニグリがどこまでやってくれるのか、最近やや低迷気味の北欧勢から新世代の若手が出てくるのか、大会が始まれば、そういう点にも注目したいですね。
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松澤 あと、従来の強豪もさることながら、新たにどんな国が強くなっているかも注目して欲しいと思います。私たちからすれば、そこが新たな『ライバル国』となるわけです。
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小泉 そうですね。何よりの注目はやっぱり、そうした選手たちを相手に、日本チームがどんな走りをしてくれるのか、です。普段一緒にいる人が、遠くの国で世界の強豪相手に戦っている、その様子をインターネットで観戦する、ここ数年で進歩したネット観戦は実は私には初めての経験なので、代表選手の活躍を寝不足になりながら応援したいと思います。松澤選手にも気合を送って応援しますよ!
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松澤 ありがとうございます。選手一同、個人戦予選通過、リレーで昨年の順位の大幅更新を目指して準備しています。8月は、皆さんを寝不足にさせるよう、現地から熱気が伝わるような走りをします。
それでは、お互い『全力を尽くす』としましょう。大会後にも、2人のトークをお届けできれば良いですね。
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小泉 ありがとうございました。
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